検証「国策逮捕」 経済検察はなぜ、いかに堀江・村上を葬ったのか

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検証「国策逮捕」 経済検察はなぜ、いかに堀江・村上を葬ったのか
検証「国策逮捕」   経済検察はなぜ、いかに堀江・村上を葬ったのか
 
カスタマーレビュー
1 もやもや

未だ記憶にも新しいライブドア事件ですが、
何の罪によって係争中なのか理解していないもやもやがあったので、
本書を手に取りました。

「投資事業組合」や「自社株売却・利益還流システム」に関して、
図解で分かりやすく説明してある点が良かったです。
それだけでも元は取れたかと思います。
よく考えたなあ、というのが正直な感想ですが、
これらの手法により自社の経営状態を良く見せるというのは、
実質が伴っていると言えるのかどうかよく分かりません。
おそらくやり方がまずかっただけで、一概に悪とも言えないのでしょう。

ライブドアグループの発展過程やホリエモンの生い立ちに
関しても触れられていた点は、理解の手助けとなりました。

これが「国策逮捕」なのかどうかは最後まで分からなかったので、
星4つとしました。

2 丹念な取材、フェア、期待はずれ

この本の長所
1.ライブドア・村上ファンド事件について、双方の言い分を載せつつ、丹念な取材の跡を残しつつまとめているところ。他の本もあろうが、これらの事件につき今後の参照に値する出来だ。
2.1と同じかもしれないが、文章はフェアに感じた。どちらか一方の肩入れになっていないから。
この本の短所
題名から推測できる内容とは違った。すなわち、経済検察(東京地検特捜部)の逮捕、起訴が不当かどうかのチェックが甘いように思った。たしかに、「狙い撃ち」(p411)ということは書いてはあるが、全体のトーンがそうなってはいなかった。
結論―長所星5つ、短所で星1つ減らして、星4つ。

3 丹念な取材に支えられた内容だが、最後でやや二兎を追った印象を残した

「巨悪を眠らせない」と言われた検察庁特捜部は最近は、経済界での犯罪を対象とした”経済検察”(これに対応する言葉として、政界・官庁を対象とした”権力検察”をあげている)に舵を切った。
この”経済検察”が挙げた事件として、村上ファンド事件、ライブドア事件を取り上げ、それらに垣間見える”国策逮捕”というキーワードを浮かびあがらせる。
本書の大部分はライブドア事件、掘江貴文の生い立ちから学生時代、起業、上場から事件に至る詳細を描くのに費やされる。ただこの部分はライブドアの成り立ちや事件のあらましを辿るにはいいが、他のところでもさんざん書かれてきたことであり、目新しさはない。
本書の真骨頂はライブドアに対し、事件が顕在化する以前に検察が行っていた隠密捜査段階に関する部分。驚くべきことだが、当初検察はなんらかの事件の確証を持って捜査を始めたのではなく、社会的に派手なことを始めた新興企業ということで、そこに何かしらのカラクリがあるのではないかという時点で調査を始めたという事実が明らかにされる部分だ。結局のところ事件化された証券市場と投資組合を巧みに使った粉飾があった訳だが、一方で50億という粉飾金額は従来の粉飾事件の金額と比べると決して多くはなく、はたしてあのような事件にまでのものだったのだろうか、という疑念が提示される。
村上ファンド事件についても、最終的に事件化され逮捕されたのは村上世彰本人だけに終わり(ファンド自体は解体に追い込まれたが)、日銀総裁による株運用問題や政財界との繋がりは不問にふされたのではないかと言う。
2つの事件を丹念に追った上で、最終章では、表題にある「国策捜査」という言葉が持ち出されるのだが、それまでの丁寧さからすると論証が短く、バランス的にはもっとこの部分を増やしてもよかったのではないかと思われた。

4 現代ジャーナリストの限界がわかる本である

まず「東京新聞特別取材班」が著者となっていることに読者は当然期待するであろう。
新聞記者といえばプロ集団。

プロ集団が経済検察の本質に迫る。
と思いたいのだが。
期待外れである。

堀江や村上の稼いだ金によって潤った人たち(=政治家、官僚、ほか?)がいることは素人でも推測がつく。
特に村上がなぜ泳がされているのか?
逮捕当日の朝に記者会見まで許されているのはなぜか?

日銀の福井総裁もいわば真っ黒なのに。
本書では全然追求されていない。

新聞等の大企業の高給取りのジャーナリストたちは毎日毎日何をやって過ごしているのだろう。
不思議で悲しい時代だ。

かすかな希望はフリーのジャーナリストにしかないのか。

現代ジャーナリストの限界を知るのに良い本である。

5 追求不足!の一言に尽きる

 堀江氏が主で、村上氏については記述は少ないが、「コーポレートガバナンスを変えたい」(村上氏)、「金を稼ぐより、面白い事を求めて常に何かをつくっていきたい」(堀江氏)との当初の目標が、「時価総額世界一の会社を目指す・総理を目指す」(堀江氏)のような金の亡者に変質していった説明はなされているものの、

○村上ファンドのみならず、ライブドアの影のオーナーとも噂される、オリックス・宮内義彦氏と両者の関係。
○沖縄で死んだ投資事業組合運営者・野口英昭氏は、他殺ではないのか? 更に山口組構成員とも言われる、梁山泊事件で逮捕された川上八巳氏との関係
○同じ粉飾決算で、117億のペイントハウスが行政指導で済んだにもかかわらず、53億のライブドアが逮捕・起訴されねばならなかったのか? 2000億のカネボウ正副社長・や少なくとも47年間虚偽記載を続けていた西武・堤氏が執行猶予付き判決となる中、堀江氏は1審で2年半の実刑となっており、求刑も本書発刊には間に合わなかったにせよ、前者との対比はできたはず。 特捜は「こんな事を許していたら、経済システムが滅茶苦茶になってしまう」旨の発言を取調べ中にしたとの記載も他書(失念しました)で見かけたが、これこそ本書のタイトルである『国策逮捕』に通づるセリフであり、このような部分を重点的に知りたかった。
○日本歯科医師連盟を巡る迂回献金事件で、自民党の集金システム中枢に捜査が及ぶのを検察上層部が止めた理由と、その裏返しにライブドアをやったのではないか?とされる背景追求。
○村上ファンドの逮捕者は1名で、前代未聞の逮捕当日記者会見を開かせた、政商と深くつながり、政界への捜査に歯止めをかけていた、愛人同伴公費出張の元東京高検検事長・則定衛弁護士と特捜部との取引について。
 などの点への疑問と不満が残る本であった。

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